春先の早い時期に黄色い花を咲かせ、まだ寒い中でも季節の変化をいち早く告げる植物として知られる「マンサク」。
こちらのページでは、マンサクに関する基礎知識を「北海道・札幌」の視点から詳しく解説していきたいと思います。
マンサクの基礎知識
生育地域 | 北海道の道南以南の全国各地(但し沖縄を除く) ※上記生育地域は「亜種」を含めた広い意味での生育地域 ※国外についてはマンサクは分布せず、マンサク属の他種が分布 |
生育環境 | 自生するものは「山林」が基本的な生育地 公園など園芸用としての栽培も盛ん |
名前の由来 | ・他の花に先んじて春の早い時期に咲くため「まず咲く」、「真っ先」が変化したとも ・多数の花が咲く姿から「万年豊作」にちなむ名称とも ※詳細は不明 |
特徴 | ・花は細長いひものような形 ・1つの場所に4つ程度の花がまとまって咲く ・萼(がく)は通常赤褐色 ・葉はひし形に近い円形 ・秋の「黄葉」も美しい |
花の色 | 黄色 |
大きさ | 高さ:1m~3m 葉:5cm~10cm程度 花:4cm~6cm程度(ひとまとまりで) |
分類 | 落葉小高木 植物界(Plantae) 被子植物(Angiosperms) 真正双子葉類(Eudicots) コア真正双子葉類(Core eudicots) ユキノシタ目(Saxifragales) マンサク科(Hamamelidaceae) マンサク亜科(Hamamelidoideae) マンサク属(Hamamelis) マンサク(H. japonica) |
学名 | Hamamelis japonica Siebold et Zucc. ※japonicaは「日本の」の意味 |
英名 | Japanese witch hazel |
亜種・変種・品種 | オオバマンサク (H. j. subsp. megalophylla) ・マンサクの亜種、本州中部地方以北に分布する マルバマンサク (H. j. subsp. obtusata) ・マンサクの亜種、北海道道南地方~本州日本海側に分布 ウラジロマルバマンサク (H. j. var. discolor) ・マンサクの変種、北陸地方に分布 ウラジロマンサク (H. j. var. glauca) ・マンサクの変種、近畿地方と中部地方に分布 アテツマンサク (H. j. var. bitchuensis) ・マンサクの変種、中国地方と四国地方(愛媛県)に分布 アカバナマンサク (H. j. f. incarnata) ・花びらが赤い品種 |
マンサク属 | シナマンサク (Hamamelis mollis) ・中国原産の品種で、日本国内でも園芸用として一般的、日本のマンサクとの雑種もあり ハヤザキマンサク (Hamamelis vernalis) ・北米原産の種 アメリカマンサク(ハマメリス) (Hamamelis virginiana) ・北米原産の種で花は秋に咲く特徴を持つ、但し見た目は日本のマンサクに似ている |
マンサクは、春の最も早い時期にその他の花や植物に先んじて黄色い花を咲かせる植物で、早春の訪れを告げる季節の風物詩的な存在として知られています。
人名・芸名のような独特の名前は、特に早い時期に咲くことから「まず咲く」、「真っ先」という言葉から「マンサク」になったとも、「万年豊作」が「マンサク」になったとも言われますが、その由来をめぐる詳細ははっきりしていません。
花はひものような細長い形をした黄色い花びらと、赤褐色の萼(がく)が特徴で、必ずしも特別に華やか・鮮やかな見た目の花ではなく、一部を除き観光資源化されているものとは言えませんが、まだ寒々とした風景の中では唯一光る存在ととなっています。
生育地域は、マンサクと呼ばれる種そのものに加え、オオバマンサク・マルバマンサクをはじめとする各種の変種・亜種の生育地域を加えた場合、北海道の道南以南であれば、沖縄を除く全国で見られる植物となっています。亜種・変種は国内では6種類があり、分布する地域はそれぞれ一定程度異なります。
すなわち、北海道内・札幌市の視点から見た場合、マンサクは道南を除いては一般的に生育していない植物ということで、自然環境では見られない・一般的ではない存在となっています。但し、後述するように公園などで一部栽培されているため、ご覧頂くことは可能となっています。
なお、マンサク「属」に含まれる植物には、海外で見られるものもあり、特に中国原産の「シナマンサク」は、日本のマンサクとの雑種も含め、園芸用として公園などで栽培されているケースも多い種と言えます。
マンサクの見頃はいつ?

開花時期 | 2月~4月 ※地域・気候により異なる |
札幌・北海道での開花時期 | 3月後半~4月頃 |
マンサクの花は、早春を代表する花ということで、咲く時期はかなり早めです。
本州の温暖な地域では2月の初め頃には既に咲いている場合があり、雪が降るタイミングと同じ時期に花が見られることがあるほどです。
山の中で咲く花としては基本的に最も早く咲くものであり、気温などを考えると「早春」と言っても早すぎるくらいの開花時期と言えるでしょう。
東北や北海道でも開花はそれほど遅くはなく、3月の中旬頃には東北北部で、3月末には北海道内で見られるようになります。なお、北海道の道央より北側では原則として自生していないため、公園などの環境で生育したものとなっています。
札幌市内の公園などで咲くマンサクは、まだ積雪が残っている状況で咲くこともあり、「雪と花」という珍しい風景が見られることがあります。
札幌市内でマンサクが見られる場所は?
これまで述べた通り、マンサクは亜種・変種を含めた場合でも、「自生地」は北海道の道南が基本的な北限となっており、北海道内の大半の地域(札幌市を含む)では、山林などを歩いていても自生するマンサクの姿を見ることは出来ません。
一方で、札幌市内の公園などでは、「園芸用」として公園内の屋外または温室内にマンサクが栽培されている場所が一部で見られるため、こういった場所では春先に咲くマンサク(シナマンサク等を含む)の姿をご覧頂くことが可能です。
百合が原公園・豊平公園・宮部記念緑地 など