「エゾモモンガ」の基礎知識【生態・大きさ・リスとの比較】

生き物

北海道内に生息している比較的小さな野生動物としては、「エゾリス」・「エゾシマリス」に加え、同じリス科に属するものとして「エゾモモンガ」も有名な存在です。

こちらの記事では、エゾモモンガについて、その体の大きさや生態・食べ物・寿命や繁殖など一生の流れ、人間との関係性やエゾリス・エゾシマリスとの比較など幅広くその「基礎知識」を解説していきます。

エゾモモンガの「種類・生息地域」

種類ネズミ目(齧歯目)リス科リス亜科モモンガ族モモンガ属タイリクモモンガ種の亜種
生息地域北海道の離島を除く地域の平地~亜高山帯

エゾモモンガは、種類としてはエゾリスやエゾシマリスと同じ区分である「リス科」に属する動物であり、樹上性(木の上が主な生活場所)ということもあり、エゾリスとは更に下位区分である「リス亜科」という点においても共通しています。

こちらの種は、ヨーロッパの東部からシベリア・中国東北部や朝鮮半島まで幅広く生息しているタイリクモモンガの一種(亜種)であり、カラフトモモンガ・チョウセンモモンガなど他にも複数の亜種が存在します。

生息地は、北海道のうち離島(含北方領土)を除く全域の平地から亜高山帯となっており。利尻・礼文・奥尻島など各離島には生息していません。また、ロシアのサハリン州や千島列島への分布もなく、エゾリスやエゾシマリスよりはやや生息域が狭いと言えるでしょう。

エゾモモンガの「体格(大きさ)」

体長(頭胴長)14~18cm程度(赤ちゃんの場合5cm程度)
尾長(しっぽ)10cm~12cm程度
体重80~120g程度
その他耳の長さ:約2cm前後
後ろ足の長さ:3.2~3.5cm程度
いずれも成長した場合の大きさ

エゾモモンガは、体長・体重で見た場合エゾシマリスに概ね近いサイズと言え、エゾリスと比べると小さな存在です。

100gというと、重さとしては「みかん」1個分くらいですので、人間の感覚で言えばかなり小さな動物ですが、この軽さをある意味では活かして「滑空」する能力を持ち、わずか15cm程度の動物であり、鳥ではないにも関わらず数十m程度空中を移動することがあります。

エゾモモンガの「見た目(色)・身体的特徴」

毛色背面:夏毛は茶褐色・冬毛は灰褐色
頬~腹部にかけて:白色
目の周囲:黒色
※毛の下部が黒い部分もあり
身体的特徴・空を「滑空」するための「飛膜」あり
・飛膜を開いた場合「四角い」見た目、コウモリにもやや似た姿に
・手の指が長く鋭い鉤爪も持つ
・目がやや大きい
・子どものエゾモモンガは頻繁に鳴き声を上げることがある

エゾモモンガは、リスなどを大きく異なる点は、木の上から他の木の上へと「滑空(グライダーのように飛ぶことであり、鳥のように上へ飛ぶことは出来ない)」するためのひだである「飛膜(ひまく)」が付いている点です。

飛膜は通常は閉じているので、その時はリスのような丸っこい見た目となるエゾモモンガですが、いざ滑空するとなると、コウモリのような、凧を揚げたようなとも言える四角い感じの見た目になり、通常時とのギャップはかなりのものです。

毛色については、冬眠をしないため「夏毛」と「冬毛」の違いがあり、茶褐色から灰色への移り変わりがあります。

その他に特筆すべき点としては、目が比較的大きい上、目の周囲は目と同じ黒色の毛が生えているため、かなり大きな目に見える点も挙げられます。

エゾモモンガの「行動・生活・能力」

活動時間帯ほぼ完全な夜行性
生息地森林のある場所であれば都市部(公園や緑地・防風林など)も含め幅広く生息
行動範囲・形態・ほぼ樹上(木の上)で活動
・地面に下りることはほとんどなく、木と木の間は「滑空」での移動が多い
・メスは一部縄張りあり、オスは縄張りなし(行動範囲がより広い)
・巣を頻繁に変えたり、複数個利用したりする
・冬眠はしないが、冬場の活動時間は短い(昼間に動く可能性も)
・通常は単独生活
・冬に限り寒さをしのぐため集団で身を寄せ合って越冬する
巣の場所天然の樹洞(木に開いた穴)・キツツキ類の巣穴・人間が設置した小鳥用巣箱など
※ツタ植物の樹皮や枯れ草などを巣の素材として用いる
能力など・滑空によって小さな体ながら数十m程度離れた木へ移動することがある
・鋭い鉤爪と長い指を持つため、物をつかむ能力に優れる
天敵クロテン・エゾフクロウ・ハイタカ・ネコ

エゾモモンガは、その生態は寒い時期に活動のバランスが崩れるケースを除き、完全な夜行性であり、夏などは昼間時に見かける可能性は基本的にありません。

活動場所は「樹上」がほとんどで、地上に降りることは少なく、エゾモモンガ特有の空を移動する「滑空」能力によって地上を伝わずに木々の間を移動することが可能です。滑空ではわずか15cmほどの体を50m程度移動させることも可能であるなど、見かけによらない身体能力を有しています。

なお、樹上生活ということで、エゾリスとも共通することですが、木のある場所であれば市街地周辺も含め幅広く生息が可能であり、札幌市内の山地以外にも一定数が生息しています。

生活は基本は単独で行いますが、エゾシマリスのように冬眠はしないため、冬場は寒さを効率的にしのぐために共同で巣穴に住むことがあります。また、天敵となる動物が多いため、逃げるだけの目的で利用する巣穴を確保している場合があり、時には天敵を避けるために2時間近く微動だにせず気配を抑えるなど、ある種の合理的・賢い生活・生存スタイルも併せ持っています。

なお、エゾリスやエゾシマリスとの関係性で見た場合、生活空間や活動時間の関係上、お互いを干渉する度合いが大きくないため、同じような場所でそれぞれの個体が生息することも少なくありません。

エゾモモンガの「食事」

食性雑食性(植物食寄り)
主な食べるもの主に木本類(シラカバ等様々な樹木)の芽・葉・花・皮・実・種子・樹液など
小さな昆虫(幼虫など)

エゾモモンガは、食べ物は基本的に地上で取ることはなく、天敵を恐れ水の摂取も含め基本的に全ては樹上で行われます。

食べ物は基本的に植物食・草食に偏った雑食性であり、様々な樹木そのものを利用し、時期により甘皮・冬芽や若葉・花や樹液・実(どんぐり)など、季節ごとの恵みを効率的に受け、樹上にいる昆虫類などから動物性のたんぱく源を得ることもあります。

冬場については、冬眠こそしないものの、ヒグマのように秋に「食いだめ」をある程度行う傾向があり、どんぐりなどを多く食べることで体重を2割近く増やすことがあり、脂肪分を蓄えて寒さと雪に備えます。

エゾモモンガの「一生」

寿命4~5年程度(飼育下ではより長い可能性あり)
繁殖のプロセス繁殖期:2月下旬~3月上旬、6月中旬~7月上旬
出産時期:4月中旬~5月上旬、7月下旬~8月中旬
妊娠期間:約1か月~1か月半
出産数:一度に2~6匹程度
出産回数:シーズンごとに通常1~2回
子育て・成長・基本メスのみが関わる
・生後約35日で目が開く
・生後約50日で滑空の練習を始める
・生後約2か月で独り立ち
・2年目からは出産が可能

エゾモモンガは、その寿命は野生では最大5年程度とエゾリス・エゾシマリスと大きな差はありません。

繁殖については、繁殖可能な時期が年2回あり、出産はいずれかまたは両方で行う場合があります。

子育ては基本的にメスのみで行いますが、オスが同居するケースもあるようです。生育ペースは早く、目が開いてからわずか2週間ほどで滑空をはじめ、その後10日くらいで独り立ちするなど、その成長速度には目を見張るものがあります。

エゾモモンガと人間

エゾモモンガは、人間との直接的な関わりという点では、エゾリス・エゾシマリスと比較するとその関係性は希薄です。

生息場所という意味では、エゾモモンガは樹木さえあれば都市部でも生息可能なため、単純に棲んでいるかどうかで考えれば、一般にイメージされるよりも思いのほか身近な存在である可能性はありますが、「原則として夜行性」・「地上にはほとんど下りない」といった生態があるため、日常的に人間が生活する中で仮に近くにいたとしても、エゾモモンガを見ることが出来る可能性はかなり限られています。

冬場などには、生活サイクルが崩れて昼間に動き回っているエゾモモンガが稀に見られる可能性もありますが、その頻度も決して多いとは言えません。

なお、札幌周辺の有名な生息場所としては、円山公園・野幌森林公園があり、この他にも森林がある場所では生息している可能性が十分に考えられます。動物園での飼育も盛んで、札幌市円山動物園・旭川市旭山動物園・釧路市動物園・おびひろ動物園でエゾモモンガを見ることが可能です。

歴史的に見た場合、エゾモモンガは必ずしも少ない個体数という訳ではありませんが、次第に個体数は減少傾向にあるとも言われています。

これは、主に都市化に伴う開発などで、かつてと比較すると平地の森林が減ったことが要因とされ、とりわけ森林がある場合でも、連続した林がなくなる(例:一部の雑木林や一部の防風林だけが残される)ような場合は、エゾモモンガの生息が難しくなると考えられます。単純な都市化だけが問題というよりは、相互に移動出来る樹木・森林があるかどうかがより重要と言えるでしょう。

なお、モモンガ・リス・ネズミなどは人間にとって危険な病原菌・ウイルスを媒介する可能性があります。とても珍しく「見ることが出来た」としても、直接的な接触は避けることが重要です。